よくある質問

Q :植毛加工ってなんですか?

 フロッキー加工とも呼ばれ高圧静電界における静電吸引力を利用し、あらかじめ接着剤を塗布した基材に短繊維(パイル)を垂直に投錨させるもの。その後接着剤層を乾燥(キュアリング)させることで投錨したパイルを固定させ必要な強度を得る加工です。 通常2万Vから10万Vの交流高圧を使用します。

Q :加工方法にはどのような種類がありますか?

 パイルの飛昇方向によって4種類の加工方法があり、加工基材の形状や加工される部位等によって選択されます。

    1. Up=Method(アップメソド)--- パイルを下方より上方へ飛昇させる
    2. Down=Method(ダウンメソド)--- パイルを上方より下方へ飛昇させる
    3. Side=Method(サイドメソド)--- パイルを横方向に飛昇させる
    4. Up・Down=Method(アップ・ダウンメソド)

Q :静電植毛に用いるパイルの条件は?

 静電植毛に用いられるパイルの素材となる繊維はその特殊な加工条件のために限定されております。

その条件は

    1. 細かくカットするのに適した硬度であること
    2. カットするときにカット面が融着しないこと
    3. 染色時にカールしないこと
    4. 電着処理が容易で安定していること

この他のもまだ細かい条件がありますが現在はレーヨン、ナイロンが一般的に使用されています。

Q :植毛加工の基本工程は?

 下記のような行程で進められます。

    1. 加工基材(材質、形状)
    2. 前処理(脱脂、プライマー処理、加工治具、マスキング)
    3. 接着剤塗布(接着剤、塗布設備)
    4. 植毛加工(パイル、加工装置、高圧発生器)
    5. 乾燥(キュア)(乾燥設備)
    6. 余剰パイル除去(エアーガン、ブラシ、超音波除毛装置、集塵装置)
    7. 後処理(クリアコート処理、残余パイル脱落防止処理)
    8. 検査

Q :接着剤は何を使うのですか?

 接着剤の選択はその加工目的を満足させるのに非常に大きな意味を持ちます。接着剤は加工品の性能はもちろんのこと、不良品の発生、加工能力、加工コスト等あらゆる面において大きな影響を及ぼします。静電植毛加工において接着剤選定は最大のキーポイントと言えるでしょう。
また植毛加工に使用される接着剤はエマルジョンタイプとソルベントタイプに分けられます。その分類は主に、アクリル系、ウレタン系、エポキシ系、酢酸ビニル系、等です。

Q :接着剤の塗布方法は?

 加工基材の形状、加工品の数、接着剤の性状によって選択します。

    1. スプレーコート法
    2. ロールコート法
    3. ナイフコート法、ワイヤコート法
    4. ハケ塗り
    5. ディッピング法(浸漬法)
    6. スクリーンプロセス(捺染)

Q :パイルの電着処理とは?

 繊維をただカットしただけでは植毛加工は出来ません。数種類の薬品で処理し漏洩抵抗値や、水分をコントロールして飛昇性をあげています。またパイル一本一本バラバラになって飛ぶ必要がありますので分散処理をして分散性を上げます。これらの処理を電着処理とよんでいます。

Q :パイルの太さと長さに関係はありますか?

 パイルの太さはデニール(d)という単位で表示します。フィラメントの断面は真円ではないので一定の長さに対する重量によって表します。1デニールは9000メートルの長さで1グラムの重量をもつフィラメントの太さを表します。パイルのカット長は通常0.3mmから0.8mmの範囲で使用されることが多い。同じ種類の繊維であれば、太さが細く、カットの長いパイルのほうが風合いが良い。しかし、その傾向が極端すぎるとパイルどうしの絡みが発生し均一の加工面が得られない不具合が発生しやすい。従って一定の太さについて最大のカット長はある程度制限される事になります。

太さ
(d:デニール)

太さに対する
最大カット寸法
1.5d 1.0mm
3.0d 1.5mm
7.0d 2.0mm
15d 4.0mm
20d 5.0mm

Q:パイルの染色はどうするのですか?

 繊維により特性が異なり、堅牢度に違いがあります。

繊維名

性質

染色

レーヨン

軟化、溶融点なし

約260℃で分解

堅牢度は全般的に低いがパイルへの加工性は非常に良い

直接染料

硫化染料など

綿

約150℃で分解

0.3mm以下に粉砕カットして使用

直接染料

硫化染料など

6ナイロン

軟化点約180℃

溶融点220℃ 自然性なし

染色堅牢度に富み、標準的に使用される

酸性染料

含金染料など

66ナイロン

軟化点約240℃

溶融点260℃ 自然性なし

6ナイロンの耐熱タイプとして使用される

酸性染料

含金染料など

ポリエステル

軟化点約180℃

溶融点220℃ 自然性なし

耐熱用に使用

染色堅牢度良好

分散染料

ナフトール染料

アクリル

軟化点約150℃ 自然性なし

発色性良好

アクリル単体ではあまり使用されていない

難燃性繊維としてカネカロンが使用されている

塩基性染料等

ポリクラール

軟化点約180℃

自然性なし(コーディラン)

分散染料

ナフトール染料

Q :植毛加工による特性と用途は?

 繊維により特性が異なり、堅牢度に違いがあります。

部門

特性

玩具、紙、印刷

繊維、雑貨

電気機器

精密機器

機械器具

自動車

水産、科学、建築

家具、美術、工芸

熱的性質

 断  熱

 防  熱

 保  温

壁紙、襖紙

カーテン

スリッパ

履物

暖冷房部品

コタツ、ストーブ

ヒーター外装

足温器、サウナ

噴出し口、ルーパー

エンジンカバー

ヒーターカバー

自動車内装品

(天井、ドア)

カーペット

壁材

発泡ウレタン植毛

植毛毛布

科学的性質

 反射防止

 遮  光

暗室

温度表示(変色)

カーテン

レンズ、鏡筒

ミラーボックス

パトローネ遮光

カメラケース内面

照明機器の遮光

サンバイザー

インパネ

暗室用装材

暗室用カーテン

音響的性質

 吸  音

 制  振

 防  音

 遮  音

オルゴール

各種カバー

マット

壁紙

マイクロホン

スピーカー

ピックアップ・

アームガイド

スピーカーネット

機械外装

コインボックス

グローブボックス

ルーフトリム

壁材、天井材

カーペット

除振置き床

防音床材

力学的性質

 摩擦力

 弾  力

 刷  毛

 滑り防止

サンダル、鼻緒

ハンガー

マット

ペイント刷毛

ブラシ

刷毛

精密機器ケース

OA機器クリーニング

ローラー

コピー機械部品

ハンドルカバー

スリップ防止

ペイントローラー

各種グリップ

スタピライザー

椅子張り

人工芝張り

テーブルクロス

カーペット

気体液体特性

 通気性

 保水性

 吸  着

 結  露

ゴム手袋内面

化粧品パフ

 

空調機器ルーパー

インシュレーション

フイルター

水滴防止

ウインド・

チャンネル

フィルター

サッシ用・

  チャンネル

ドアモール

壁装材、人工漁礁

汚水処理フィルター

装飾的性質

 質感、量感

 触  感

 美術表現

人形、カバン

宝石ケース

文具表紙

Tシャツ

袋物、ハガキ

フロックヤーン

装飾コート

外装カバー

ディスプレー

ダッシュボード

ダッシュボックス

コインボックス

サンバイザー

置物

室内装飾品

ポスター、マーク

手芸材料

造花、商業美術

崖面人工緑化

 

服飾性

 被  覆

 風合い

 感  触

ベルベット調

チンチラ風

バックスキン

毛皮、ボタン

機械外装カバー

自動車ルーフレザー

金網カバー外装

衣服の文字

衣服の柄

表現